運行に不可欠な電気設備の
保守点検を担当
電車の運行に不可欠な電気を供給する、各種電車線設備の保守点検を行っています。中でも重要な仕事が、トロリ線(架線)の管理です。摩耗量を0.01mm単位で測定し、摩耗が進んだ箇所については張り替えを行います。主に終電後の深夜に架線を点検し、月に1回は保守点検車を走らせて測定。さらに半年に1回は手作業での測定を行い、万が一にも断線が起きないよう注意を払っています。駅の照明設備は定期的に点灯状態を点検、電気設備・配線は計器類を用いて健全性を測定し、維持管理を行っています。鉄道の安全・安定輸送という重大な使命に最前線で関わり、直接支えることができる、大きな責任とやりがいを実感できる仕事です。
短時間でチームワークを
発揮した初の架線交換
初めて行った架線の張り替え作業は、今も忘れられません。終電後から始発前までの限られた時間の中で確実に行うために、事前の綿密な打合せはもちろん、現場でも作業員同士がチームワークを発揮し、迅速に作業を進めました。私は事前に作業の流れを先輩たちに確認し、道具の準備や作業の補助など、夢中で作業をサポートしました。張り替え後に初電通過を確認し、正常運行を目の当たりにしたときには、心からホッとしました。エアセクション区間や勾配のある区間など、場所によって架線の摩耗度は変わります。丁寧に作業しないと、架線に微妙なねじれなどクセが付き、摩耗しやすくなります。作業に慣れてきた今も、あの頃の初心を忘れないよう心がけています。
作業の効率化を考える、
作業の手順書を作成中
夢はメンテナンス・フリー
現場の大きな課題は、保守設備の増加・多様化です。現場の作業は、やってみないとわからない・覚えられないものが多くあります。しかし中には数年に一度しか行われない作業もあり、その都度、方法を考えるのは非効率的と思われました。そこで電力区では、点検の手順書を作成しています。作業手順を写真入りでわかりやすく説明し、使う部品や工具の特徴や注意点も記入します。手順書のない作業を担当した者が、順次作成を心がけていて、作業の効率化に努めており、私もいくつか作りました。それを踏まえた上で、「メンテナンス・フリーな設備構築」が、私の夢です。保守をさらに効率化することでより安全な新しい相鉄を作りたいと願っています。
現場を相手にする仕事の
楽しさを知ってほしい
大学院で電気電子工学を専攻したので、製造業に就職する選択肢もありました。鉄道業界を選んだのは、人々の暮らしや地域社会の発展に直接貢献できると思ったからです。実際、常に現場を相手に作業する今の仕事は、とても手応えがあります。「同じ作業の繰り返し」だと思われがちですが、現場は一つひとつまったく違いますし、一つずつ確実に積み上げていく作業が、私は好きです。現場の楽しさに、ぜひ気づいてほしいですね。
※インタビュー内容は取材時のものです