地域社会の福祉への貢献活動
相鉄線沿線には非常に多くの養護学校・特別支援学校が点在し、また、障がい者の生活拠点となるグループホームや就労移行事業所等の社会福祉施設も数多くあり、多くの障がい者が鉄道やバス、相鉄グループの関連施設をご利用されています。 相鉄ウィッシュでは、これら相鉄線沿線の地域特性を常に意識し、養護学校や特別支援学校へ通う生徒や福祉施設等の利用者の方々が、相鉄グループ関連施設で一生懸命働く障がいのあるスタッフの姿を目にすることで、将来の夢や希望の光となる存在でありたいと願っております。また、地域社会の福祉への貢献活動としては、相鉄線沿線の養護学校、特別支援学校等からの実習生や保護者等の企業見学の受入れを積極的に行っています。
相鉄ウィッシュの考える障がい者雇用とは?
養護学校、特別支援学校を卒業した生徒の進路の多くは、福祉的就労もしくは企業就労になります。企業に就職した障がい者(知的障がい者)が企業で長く働き続けるためには、持続的な支援が必要となります。相鉄ウィッシュをはじめとする特例子会社では、障がい者が働くための様々な仕掛けや工夫をしております。
しかしながら、会社を離れた生活面における支援、例えば食生活や年齢に応じた健康への配慮、家族構成の変化への対応等が不足し、そこから仕事面においても不調を来たし、離職するケースが非常に多いのです。 相鉄ウィッシュでは、企業就労は「ゴール」ではなく、長い社会人生活の「スタート」と捉え、会社、家庭・支援者(グループホーム等)、学校・支援センターがそれぞれ役割分担し、三位一体で障がい者を持続的にサポートすることが重要だと考えております。特に保護者の方々には、働く障がい者の将来的なライフプランまで視野に入れた支援計画を立て、様々な福祉サービスを利用しながらサポートすることをお願いしております。
相鉄ウィッシュにおける障がい者雇用の仕組み
相鉄ウィッシュは相鉄グループ6社から清掃業務を受託し、相鉄グループの関連施設の清掃を日々行っております。具体的には相鉄グループの研修施設、ショッピングセンター、駅施設、バス停等になります。 障がい者雇用で重要なことは、障がい者が働き易い環境を様々な工夫を凝らし整えることです。 相鉄ウィッシュにおける障がい者雇用の仕組みは、作業面では、清掃の手順を細分化し、写真等をふんだんに使いビジュアル化したマニュアルを作成することです。スタッフ(障がい者)はマニュアルの順序に従い手際良く作業を行うことで、最終的には洩れなく、抜けなく、綺麗にすることができます。 サポート面では、スタッフ2~3名に1名の割合でリーダー(指導員)が配置されます。リーダーの役割は、スタッフが安全で安心して働けるよう、体調面は元より作業面にも目配せし(サポート)、作業がマニュアルどおりできているか、自己流になっていないかをチェックし、時間内に終われるよう指導(コーチング)します。
作業マニュアルのサンプル
作業マニュアル(トイレ清掃)(21KB)
作業マニュアル(横浜駅)(289KB)
企業の戦力として
相鉄ウィッシュで働くスタッフは、暑い日も寒い日も、そして雨の降る日も一生懸命、「お客様ファースト」を心掛け、黙々と自分達の決められた作業を行います。相鉄グループの関連施設をご利用されるお客様が、綺麗になった駅施設やバス停、ショッピングセンター等を気持ち良くご利用いただき、笑顔になっていただくことがスタッフのやりがいです。 障がい者の働く力は、社会から求められ、必要とされています。相鉄ウィッシュで働くスタッフは清掃という仕事を通じて確実に企業の戦力となっております。
社員の声
南万騎が原事務所スタッフ 宮島由貴(2009年3月入社)
「私は相鉄ウィッシュに入社して9年目になります。いつもの仕事はまきが原ライフのトイレ清掃や広場の掃き清掃、二俣川駅や横浜駅のコンコースの掃き清掃や看板等の拭き清掃をしています。雨の日や真夏の暑い日、冬の雪のチラつく日でも仕事はお休みできません。仕事は大変だけど、お客様が綺麗になった施設を笑顔で使ってもらい、「いつもありがとう」と言葉を掛けてもらうとすごく嬉しいです。2017年の4月からはいずみ野線の駅ホームや改札廻りの清掃といった新しい仕事が増え、南万騎が原駅から湘南台駅までの各駅を1日1駅ずつ清掃しています。私の仕事は相鉄線を利用するお客様の中で行うので、お客様にぶつからないように周りに注意しなくてはならないので大変ですが、とてもやりがいがあります。身体を使う仕事なので大変ですが、働いていただいたお給料は、将来の為に貯金しています。でも時々、週末に美味しいものを食べたり、横浜に出掛けてリフレッシュしています。」
かしわ台事務所スタッフ 清水達也 (2016年3月入社)
「私は相鉄ウィッシュに入社して2年目になります。今の仕事は相鉄線かしわ台駅の側にある相模鉄道の運転士さんや車掌さんが仕事をしている電車区・車掌区の建物の清掃をしています。この場所は宿泊施設もあるので事務室やトイレだけではなく、寝室、浴室、食堂等の清掃もあります。かしわ台は、夏はすごく暑く、冬は本当に寒く水も冷たくて大変ですが、職員さんから「いつもありがとう」と声を掛けられると、日頃の大変さも吹き飛び、また頑張ろうという気持ちになります。
2年目になると実習生や新入社員の先生役をやることが多くなります。自分が入社前に先輩から教わったことを今度は教える側になり、難しいけど少しだけ社会人の先輩として成長したかなと思います。休日は、鉄道に乗るのが好きなので、先輩や学校の同級生と目的地を決めて遠くまで出掛けることがあります。学生に比べお給料をいただいているので、行動する範囲が広がりました。こうして休日にリフレッシュして、月曜日には仕事モードで出社することを心掛けています。」
南万騎が原事務所リーダー(指導員) 山口美奈(2016年8月入社)
「私は、相鉄ウィッシュに入社する前に就労移行事業所で知的障がい者の就労支援をしていました。福祉施設での経験もあったので、当社スタッフとのコミュニケーションや距離感等は比較的容易につかむことが出来ました。しかしながら、福祉施設と企業との大きな違いは、「利用者さん」と「労働者」ということでした。私たちリーダーの役割は、「労働者」である障がいを持つスタッフが、与えられた業務を安全に遂行できるよう、体調面等におけるスタッフのちょっとした変化も見逃さず、働き易い環境を提供することにあります。また、安全面や社会人としてビジネスマナー等で問題があれば、厳しく指導することもありますが、障がい特性から直ぐに理解されないこともあり、伝え方に一工夫が必要なこともあります。
そうは言うものの、入社間もないスタッフが、仕事を通じて日々成長していくのが手に取るように分かりますし、また、そのスタッフが実習生の先生役として上手く仕事を教えることが出来た時や、お客様から「いつも綺麗にしてくれてありがとう」と感謝の言葉を掛けられた時は、とてもやりがいを感じます。障がいのある人が、清掃という仕事を通じ日々成長し、社会から必要とされ一生懸命働いている姿を是非ご覧いただきたいと思います。」
コミュニケーションの充実と社員教育
相鉄ウィッシュでは、障がいのあるスタッフが安定・安心して就業できる環境づくりとして、家庭(グループホーム等の支援者)、学校・支援機関、会社がそれぞれ役割を担い、一体となってサポートすることが重要であると考えております。その取組みとして、学校・支援機関との定期的な連絡、家庭との連携においても面談や職場見学、イベント等を通じ図っております。
また、社員教育の一環として、全社員が一堂に会し「全体ミーティング」を行います。ここでは、社会人のマナーや作業手順の確認、相鉄グループのCSR活動等について、SST(ソーシャルスキルトレーニング)の手法を用い、分かり易く学ぶ場を設けております。